愛くるしい時間
地元に帰省して何日間か経ちました。
僕の地元は山に囲まれ、空気が澄み、稲穂が風で揺れています。
もう、田舎すぎています。
でもそこが僕の地元の好きなところです。
高校時代、通信制だった僕は
他の高校生よりも圧倒的に時間を持て余していました。
その時間にいろいろすることができましたが、
一番記憶に残っているのは、散歩です。
変哲もない、いや、変哲のなさすぎるただの田舎道を
僕は毎日歩いていました。
今思えばよく飽きずに続けたなと思います。
でも、その時間に僕は
僕の、身体や価値観や時間を超えた魂や
自然の中にいる僕自身のありのままを
ひとつひとつ知っていきました。
焦りと自己嫌悪とやらに、毎日脅かされる日々ではありましたが、
それがこころの薪となって
僕を無我夢中で歩かせたのかもしれません。
いま、飼い犬が、
僕のベッドの上で静かに寝息をたてています。
焦りも不安も、当時とは内容は変わっただけで
相変わらず僕の眠りを邪魔してきます。
でも静かに静かに過ぎていくこの時間が
いまは愛おしく感じます。
散歩はすきです。
でも、高校時代の道はもう飽きました。
今は好きな道を、自分で選んで歩んでいます。
僕は変わり続けています。