僕は見ていません
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僕が所属する大学のゼミでは、SNSを使って活動内容を広報しています。
僕はそのアカウントを動かす権利をもっています。(ゼミ員は全員その権利を持っていますが)
でも、僕はSNSの発信などはあまり得意ではないので、
同じゼミ員の女の子たちが上手く運営してくれています。
最近のSNSの発達には、眼を見張るものがあります。
その陰には、様々なプログラマーや経営者さんたちが、
うまい戦略やアイデアで進化を進めているからでしょう。
インスタグラムやツイッターなどの検索欄などで、
たくさんの情報やコンテンツに没入していくと、
次に見たときは、自分に興味があるものがおすすめとして自動的に表示されます。
猫の写真でずっと癒されていたら、関連する猫の写真が
検索画面を覆いつくすことになります。
AI機能でしょうか。
正式名称があるはずですが、すみませんわかりません。
僕はそのAI機能さんに、精神攻撃をされています。
ゼミの授業でSNSの話になったとき、
先生の指示で僕は個人アカウントからゼミ用アカウントに切り替えました。
そして検索画面を見たとき、僕の心拍数が急にあがりました。
画面いっぱいに広がる、エロティック水着美女たちの無数の写真。
こちらを見つめる乙女たちの瞳が、私に冷や汗をかかせました。
そこには冷やせがでるような写真しか、映し出されていませんでした。
ゼミの中で、男は僕だけです。
それに気づいた瞬間から、周りの女の子の目が冷たくなっているように感じました。
『もしかしたら気付かぬうちに、間違えてゼミ用のアカウントで、静かに興奮していたのか。おれは…』
でもにわかには信じれません。
僕の個人のアカウントには、少なからず健全な写真が数枚あります。
細い綺麗な犬が、鶏の卵を前にしてお座りしている写真とかです。
「絶対お前のせいじゃん!!(笑)」と友は腹を抱えて笑います。
でも疑問は、ゼミ用アカウントは全部の写真が水着美女のことです。
下にスクロールしても、全部が水着美女です。
『そんなに、おれはみてたのか?』
考えればそうだともいえるし、
Aiが僕を完全なる変態と認めるまでの数はみていないような気もするし…
もしゼミのみんなに、責め立てられたら言い返します。
「僕じゃない!!!」
「僕だとしても、いいじゃないか!だって興奮しちゃうんだもの!」
僕は彼女らの前で、ボロボロ泣きながら、そう訴えます。
そんな未来がこないように、僕は犬の写真を見続けます。
これからも、そして永遠に。