人生は回転寿司
友だちと飲む約束をして、徒歩で駅に向かっていました。
歩いていると、杖をつき、チャップリンの歩き方をしたおじいさんが
僕の目の前を通り過ぎていきました。
「チャップリンおじいさん・・・」
僕は次第に駅に近づいていきました。
人通りが多くなってきたのを感じながら、
目の前には少年が僕と同じ方向へ歩いていました。
後ろ姿でしたが、白タンクトップに半ズボン、帽子をかぶって
ウォーキングをしているようでした。
その少年をみてると、彼は帽子をとって汗を拭い、
白髪薄毛頭をハンカチで拭っていました。
よくみれば、後ろ姿が少年に見えたただのオジサンでした。
「後ろ姿少年おじさん・・・」
友だちと会うまで時間が余っていたので、
涼みがてらスーパーに行き、
マスクが家にないことを思い出して
箱マスクをレジに持っていくと
レジ担当には金髪姉さんが待ち構えていました。
箱マスクにテープを貼った彼女は、ポイッと僕に投げるように渡しました。
「おっ」と思いながら、500円を出すと、
「500えん・・・」
といって黙り込み、
ハッとして僕をちらっと見て、
何か申し訳なさそうに、その後はお会計してくれました。
「悩み疲れ金髪姉さん・・・」
暗くなった駅前には、キャッチの男たちがうろついていて、
通り過ぎていく客を、流れてくる回転ずしのように見ていました。
「やっぱ東京はせわしくて、たくさんのネタがあるなー」
その夜、友だちと楽しく飲みました。
そのネタは話題に出ないまま、どこかへ消えていきました。